めんつゆとは
2011年に原材料表示の変更が実施されるまでは、「めん類等用つゆ」として、「醤油に糖類及び、風味原料(かつおぶし、こんぶ、乾ししいたけ等をいう)から抽出しただしを加えたもの、またはこれにみりん、食塩その他の調味料を加えたものであって、直接または希釈して、主としてそば、うどん等もめん類のつゆ汁、かけ汁もしくは煮込み汁または天ぷらのつけ汁として用いる液体をいう。」と定義されていたが、個別品質表示基準の見直しによって本定義は削除されることとなった。しかしながら、上記定義に準じた液体調味料については一般に「つゆ」、「めんつゆ」等の名称が消費者に認知されていることもあり、原材料表示における名称として現在も使用されている。
主な生産地
愛媛県、京都府、兵庫県
生産の動向 ・消費の動向
2022年全国販売数量は22万6,840kL(956億円)、2023年は22万3,330 kL (955億円)となり、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う家庭内調理機会の減少や、主要コスト上昇による値上げなどがから2020年以降は市場が縮小してきたが、2024年はストレートタイプや個食タイプのバラエティつゆなどが好調に推移すると予測され、めんつゆ市場として22万4820kL963億円)と見込まれている。
原料選択のポイント
「めんつゆ」は、従来、「だし」と「かえし」と呼ばれる調味料を別々に作ることが多かった。これは、老舗のそば屋と同じ作り方である。まず「だし」としてはうま味がしっかりとあり、醤油と相性の良い香りを持ち、つゆに向いている良質な「かつお節」、や「そうだかつお節」を選び抜いて使用する。そして、だしを取る際には、削りたてのもの(粉砕したてのもの)を用いる。これにより、かつお節本来のうま味と新鮮な香りを引き出す。
「かえし」の材料は「だし」に合うものを選択する。近年では「かえし」を作らず、「だし」に醤油や砂糖、みりんやエキス類などの調味料を直接混合する製造法が用いられることが多い。
使用する副原料
醤油、食塩、糖類(ブドウ糖果糖液糖、砂糖)、みりん風調味料、昆布、椎茸、かつおエキス等の天然調味料、アミノ酸等を使用している。
加工技術
めんつゆは良質のかつお節を原料とし、削りたての節からとった「だし」を使用する。「だし」のうま味と香りを最大限に引き出す抽出法を採用し、その「だし」と「独自製法のかえし」を調製し、それらと種々の調味料を配合するが、この配合バランスが、めんつゆの品質を左右する。加工の原理は簡単であるが、細かな工程管理が重要である。
商業製品としてはコストが常に問題にされるので、原料節、醤油などの使用量は、そば屋のめんつゆほどふんだんに使えないケースも多い。そのため、だし素材のうまみを徹底的に引き出しながら、塩味、コク味、うま味などの補填として食塩、天然調味料、アミノ酸系うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)や核酸系うま味調味料などを使用している。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 だし抽出直前にかつお節、そうだかつお節を削り、または粉砕し、新鮮な香りを活かしている。
- だしの抽出 「だし」の抽出には各社各様な抽出方法が用いられている。例えば「だし」を循環させながら、抽出とろ過を繰り返し、かつお節の純粋な「うま味」と「香り」だけを引き出す方法や、密閉式のだし釜を使用し、香りを逃がさないようにすることで「だし」の「豊かな香り」を引き出す方法などである。近年では「うま味」と「香り」をそれぞれ別々に抽出したのち、配合にて合一する方法なども行っている。この「だしの抽出」は、美味しいめんつゆを作る上で非常に大切な工程で、良い「だし」が取れるか否かによってめんつゆの味が左右されるといっても過言ではない。
- かえし 「かえし」とは醤油に砂糖、みりんやその他調味料を加えたもので、醤油を「煮返す」ことからきた言葉で、じっくり寝かせることで醤油をまろやかにする効果があるといわれ、醤油を加熱する「本かえし」、加熱しない「生かえし」といった方法があるが、ここでは「本かえし」について記載する。すなわち生揚(きあげ)醤油を加熱して、そのままの状態で一定時間保持することで、醤油の香りと色を整える。次にタンク内に、砂糖、みりん、食塩などの調味料を入れ、加熱した醤油に溶かし「かえし」を作る、これを冷却して寝かせることにより熟成させる。
- 調合 「だし」と「かえし」の調合は各工場の秘伝で絶妙な割合で行われる。昔ながらのそば屋の方法と思えばよい。これにより、香りが高く、しっかりしただし感と、まろやかな味が実現できる。これで「めんつゆ」の原液が出来上がる。
- ろ過・殺菌 調合された「めんつゆ」は美味しい味成分を損うことなく「濾過機」を通し、クリアーですっきりした「めんつゆ」に仕上がる。濾過された「めんつゆ」は味質を損なわないよう、高温短時間殺菌を行う。
- 充填 充填するボトルはCCDカメラを使って人の目にとまりにくい小さな傷やゴミをチェックし、不良ボトルは自動的に取り除き、きれいなボトルだけが洗びん機にかけられる。殺菌した「めんつゆ」はクリーンルームの中で衛生的にボトル詰めされ、キャップが打ち込まれる。充填時の液温は高温なので、ボトルをシャワートンネルに通し冷却することで熱による品質の劣化を防いでいる。
- 包装 ロール状のラベルを1枚ずつカッ卜しながら賞味期限を印字してボトルに貼り付ける。最終的に専門の検査員が目視で検査する。(最後は人間の目できちんと商品管理を行う。)品質検査を受けた商品は自動的に整列し、段ボールに包装する。
- 出荷 自動化倉庫で保管された後、出荷される。
品質管理のポイント
「ISO9002」「HACCP」の工場認定等を取得し、これらに基づいて厳しい品質・衛生管理を確立している。
製品の形態•包装等
めんつゆ製品として、ペットボトル(300〜1,800 mL/本)、紙パック[カートン(1,800 mL/本)]、[小袋つゆ]などがある。
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調理方法および食べ方
うどん、そば、そうめんのかけつゆ、つけつゆとしてはもちろん、その他煮物など毎日の献立に役立つような多くのレシピがインターネット上にも公開されている。
コラム
「急速に消費拡大しためんつゆ」
めんつゆは古来、うどん屋、そば屋の伝承技法であったが、1955〜1965年代に酵母RNAを分解して5'-イノシン酸と5'-グアニル酸を作る酵素が発見され、その後工業的生産に成功、安価に供給されるようになった。また、これらの成分はグルタミン酸ナトリウムと混ぜると驚異的にうま味を増強する「味の相乗効果」があることも併せてわかった。これに着目し、県内大手削り節業者が自社のかつお節を主原料に、上述の新調味料を用いてめんつゆを試作し、1979〜1980年に工業規模での生産に成功した。製品を発売したところ、その品質が消費者の嗜好に適合したことから、急速に消費が拡大した。今では自動ラインで生産されている。 (資料提供:ヤマキ㈱)
同類製品例
醤油、昆布、かつお節等をベースにしためんつゆ等多数あり。
製造者リスト
愛媛県(ヤマキ(株)、マルトモ(株)) 京都(宝酒造(株)、福島鰹(株))
東京都((株)にんべん)他
協力
ヤマキ株式会社
(愛媛県 産業技術研究所 :石井 佑治・菅 忠明/元愛媛県工業技術センター:上岡 康達)
