なまり節とは
なまり節は江戸時代の俳句にも詠まれているほど古くから食されている加工品で、語源は「生を利用する」を略して生利(なまり)になったといわれている。
冷蔵技術が発達するまでの長い期間、旬のカツオをなるべく鮮魚の風味を残した状態で輸送するために、煮熟して保存性を向上させる工夫が行われていた。一般になまり節とはカツオやマグロの節を煮熟したもの、または軽く焙乾して表面のみを乾燥させたもの(若節)であり、古くから和風料理屋などで料理素材として用いられてきた。最近では、業務向けの節製品に加えて、真空パックの節やスライス品など一般小売品が多く、製品は多様化している。

主な生産地
静岡県、鹿児島県、高知県
生産と消費の動向
かつおなまり節の生産量は2021年までは1,000t以上であったが、2023年には771tに減少し、静岡県が412t、次いで鹿児島県が208tとなっている。(2023年漁業センサス流通加工調査)

原料選択のポイント
関西方面ではたけのこなどの具材と一緒に炊き込むのが定番となっており、よく脂の乗った身の柔らかいものが好まれるため、原料の脂質量が重視される。
加工技術
5枚におろしたカツオをすばやく煮熟することにより、旨味を封じ込めるとともに保存性も向上させている。煮熟時間は20~45分とかつお節加工に比べると短く、製品の水分含量は58.8%(日本食品標準成分表八訂・増補版)と高い。
製造工程の概略

加工の実際
- 原料 船上でブライン凍結した冷凍カツオを使用することが多い。
- 解凍 冷凍カツオを解凍タンクに投入しタンク内にて自然解凍または流水にて解凍する。
- 生切り 解凍した冷凍カツオを身卸包丁で4つに割り、節に切り分ける。
- かご立て 切り分けた節を腹節、背節ごと煮カゴに並べる。
- 煮熟 煮沸した状態の煮釜で小節は20分間、大節は45分間を目安に茄でる。
- 焙乾 製品によっては保存性、香ばしさを向上させるために表面を燻し乾燥させる。
- 箱詰め 4節もしくは6節ずつ木箱に箱詰めする(業務用)。
- 成形 近年では一般小売品の増加に伴い、真空包装品が主流になっている。この場合は煮熟が終わった節を皮、骨、血合肉を除去してスキンレス製品とし、更にスキンレス形状をスライスし切身製品として真空包装する。
- 2次殺菌 熱水で30~60分間殺菌する。

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)

(撮影:静岡県水産・海洋技術研究所)
調理方法および食べ方
そのままスライスして醤油やマヨネーズと一緒に食べるほか、関東方面ではほぐしてサラダの具材や豆腐に乗せるなど惣菜として利用されている。また、関西方面ではたけのこなどの具材と一緒に炊き込むのが定番となっている。

コラム
なまり節の歴史
なまり節の歴史は江戸時代まで遡る。当時、なまり節は江戸懐石の膳を彩る献立の定番として人気があった。「二日目は矢次早なり初なまり」。これは江戸の画家で俳諧にも通じた酒井抱ーが詠んだ句。ある日、料理茶屋で初鰹を賞味し、その翌日、再び店を訪れると今度は鰹を加工したなまり節を供され、旬の味覚を連日楽しんだというもの。初鰹はお金がなくても人より先に食するのが江戸庶民の心意気だが、なまり節は江戸のみならず京料理や関西料理でも珍重された。
(静岡県水産・海洋技術研究所:二村 和視/東海大学海洋学部:平塚 聖一)
撮影協力
株式会社カネヨ
